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2018年6月 2日 (土)

Twitter300字SS/お題「空」

タイトル「空から降る音」

雲ひとつない空を見て思う。カメラマンだった彼のことを。
外で撮影する時、彼の切るシャッター音はいつも空気に溶けるようで、空から降ってくるみたいに聞こえた。
その音がとても好きだった。構えるカメラの後ろの真剣な表情も、撮った直後の笑顔も。
私を撮ってくれる時の「笑って?」という声も。
もう今は、全て消えてしまっているけどーーあの夏の日、彼の乗った飛行機が空で壊れてしまってから。

今年もまた、夏がやってくる。
彼とよく来た浜辺を歩きながら、時折くるりと回ってみる。
あの音がまた、空から降ってくることを願いながら。彼の声が「笑って?」と聞こえてくることを夢想しながら、まぶしい青空に笑いかけるーー少しだけ、涙目で。


注釈:Twitter上の小説企画「Twitter300字SS」参加作品です。
10年くらい前に書いた、無料配布本『海色の町』シリーズの『空のおと』という作品の、ヒロイン視点で書きました。
この300字単体でも問題はないと思いますが、もし興味を持ってくださった方は、「小説家になろう」のこちらのページでぜひご一読ください。
(本編の語り手は、ヒロインの同級生男子=社会人男性です)

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