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2019年9月 7日 (土)

Twitter300字SS/お題「演じる」

タイトル「胸の痛みの去る時を」

「あ、お義兄さん」
明るい声。そう呼ぶ相手は一人しかいない。振り向くとやはり彼女。会社帰りなのだろう。勤め先が近いわけでもないのに、ここで会うのは珍しい。
「名前でいいって、同い歳なんだし」
「でも今はお義兄さんだもの」
彼女は高校の同級生だった。大学でも同期で、けっこう話す仲だったのだが、恋人にはならなかった。1年後輩の、僕の弟と彼女は交際していたから。そして去年結婚。
「今度また家に遊びに来てね。あの人も待ってるから」
弟との仲はこの歳にしては良い方である。……だからこそ、演じ続けなければいけない。二人を見守る優しい兄貴を。
ああ、と頷いてその場を去る──いつか、胸の痛みを感じなくなる時が来るだろうか。


注釈:Twitter上の小説企画「Twitter300字SS」参加作品です。
今回はめずらしく、単発作品を書いてみました。たまにはこういうのも書かないと、私の作品に馴染みのない方々に不親切だと思いまして(苦笑)
よろしければご感想・ご意見など、一言でも頂けますと幸いです。

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